初期治療 擦り傷

次の文章で正しいと思うものに○、間違いには×を入れて下さい。

( ) 擦り傷をしたので、すぐに消毒をした。
( ) 擦り傷をしたが、すぐに乾かすスプレー(粉末)を振ったのでOK。
( ) 擦り傷をしたので、毎日消毒をしてガーゼ交換をしている。
( ) 擦り傷をしたが、かさぶたができたので、もうすぐ順調に治りそう。



・・・・・・・・・・・・・・・答えはすべて(×)です。

 擦り傷をしてしまったら、まず流水(水道水を勢いよく出す)で傷口をよく洗います。消毒は必要ありません。 洗い流したら台所で使うサランラップで傷口を覆い、その上からタオルやハンカチで押さえましょう。ガーゼで傷口を直接抑えると、はがす時にまた出血します。 傷が深く、あるいは大きければそのままの状態で医療機関を受診して下さい。

 浅い擦り傷で、砂や泥がついていなければ、そのまま自宅で治療を続けて結構です。 すなわち消毒はせずに入浴やシャワーで石鹸を使って傷口を洗います。そして水道水で石鹸をよく洗い流して、清潔なガーゼで拭いたら数日間サランラップで覆ったままにします。


 閉鎖療法用のアイテム 目盛りは5cm
これを「閉鎖(ラップ)療法」といいます。左の写真は我々が使用するアイテムです。最近では閉鎖療法用の被覆材を市販もしているようです。

 われわれ医師にとって一番困るのが、市販のスプレイや粉末で傷口を固められることです。細菌も一緒に閉じ込めていますので、大概は感染も伴っており、その状態で来院されると処置に困り果てます。血止めの粉末のたぐいは決して使わないで下さい。

 次に消毒についてです。消毒剤は菌を殺しますが、治癒に向かうために出来てくる新しい細胞をも殺してしまいます。少ししみますが流水や石鹸で洗い流すのが最も効果的です。

 昔は傷口からの浸出液をガーゼで吸い取って乾かし、かさぶたにして治していましたが、これも間違いです。浸出液の中には実は成長ホルモンはじめ細胞の新生を促進するための色々と重要な因子が含まれているのです。砂漠で水がなければ生物は生きていけないのと一緒で、乾かすと次々と新しくできてせっかく傷を治そうとしている細胞が、乾燥することで死んでしまうのです。傷口が乾燥しないよう、そして治癒を促進する因子を逃さないように、傷口をラップや被覆剤で閉鎖して治療するのが、正しい方法です。

 ただし感染には注意が必要で、傷口やその周囲が赤くなる、腫れる、膿の悪臭がするなどの場合は直ちに自己治療は中止して医療機関を受診して下さい。

また擦り傷が深い時は、瘢痕になって残ることもありますので、必ず医療機関を受診して下さい。

初期治療 切り傷

次の文章で正しいと思うものに○、間違いには×を入れて下さい。

( ) 切り傷をした。
深い傷だが出血も止まったし縫われるのは怖いので、ひと晩様子をみよう。
( ) 切り傷をしたが、すぐに血止めの粉末を振ったので大丈夫。
( ) 指先に切り傷をした。出血がひどいので指の根元をきつく縛って止血した。
( ) 切り傷をして外科で縫って貰った。治るまではお風呂などで濡らさない。



・・・・・・・・・・・・・・・答えはすべて(×)です。

 出血していても慌てずに、まず流水(水道水を勢いよく出す)で傷口をよく洗います。消毒は必要ありません。清潔なガーゼがあればそれで傷口を抑えて止血します。なければ汚れていないタオルや手ぬぐい等で押さえます。そしてそのままで医療機関へ行きましょう。

 受傷から1日以上経過すると、傷口の細菌が増え過ぎて化膿が始まり、縫合などのきちんとした処置ができなくなることがあります。

 市販の黄色い止血用粉末剤などは決して使用しないで下さい。治療の妨げになって大変困ります。

 もうひとつ、絶対してはならないことがあります。止血のために傷口より体に近い部分を紐などで縛ることです。大量の動脈出血の場合に必要なこともありますが、これは知識として知っていればよいことで、実際に必要になることは非常にまれです。私は40年近く外科医をしていますが、こうした近位緊縛処置が必要であったケースは1例もありません。むしろ逆に不完全に縛ったために出血が止まらず、輸血が必要になってしまったなどの逆効果のケースに遭遇したことがあります。また頭や顔の傷で、出血が多いからといって首を絞める人は・・・多分いないでしょう。どんな出血でも、たとえ動脈からの出血でも、傷口をしっかり押さえておけば必ず止まります。

 切り傷に対して縫合処置を受けたあとは、完治するまで少なくとも2~3日に1回は受診して創部の状態を診て貰う必要があります。数日すると傷口から水が入ったりはしなくなるので、入浴や手洗いで濡らしてもよい状態になりますが、それは医師の指示に従って下さい。

血圧自己測定のおすすめ

高血圧症で治療中の方や、あるいは治療はしていなくても高血圧の傾向がある方は、ご家庭で血圧を測定して記録をしましょう。 血圧は精神的な緊張や肉体の疲労などによって影響され、また1日のリズムや気候の変化などによっても変動します。 これをグラフにすることで、ご自分の血圧がどういう状況でどのような変化をするかをとらえることができます。また治療していく上での大変重要な情報にもなりますので、ぜひご家庭での血圧測定をお始め下さい。

Q どんな血圧計がいい?
A 家庭用血圧計が普及して、はかり方が簡単で値段も安いものがどんどん登場してきています。種類やかたちもさまざまですが、上腕を捲いて測定するタイプのものを購入して下さい。手首や指で測るタイプは、コンパクトにはできていますが、計測した数値はあまり正確ではありません。
Q 自宅と病院ではちがう?
A 自宅でリラックスして測った血圧と、医療機関で少し緊張して測ったものでは違うことがよくあります。緊張して測るほうが高く出る傾向があります。極端に高くなる方は「白衣性高血圧症」といい普通あまり病的なものではありませんが、治療を必要とする場合もあります。
?測るたびに血圧が変るけど?
Q 測るたびに血圧が変るけど?
A 自動血圧計でははかるたびに異なった数値がでます。しかしそれは医師や看護師が使う水銀血圧計でも同じことです。動脈が締めつけられることで、反射的に血管が固くなり、最初は血圧が高めに出ると考えられていますが、高血圧の方では特にこの傾向が強いようです。続けてはかると下がってきますので、2回目または3回目を採用するよう、決めておくとよいでしょう。
Q いつ測ったらいい?
A 日内変動といって、1日を周期として変動する血圧のリズムがあります。血圧が高い方ほど大きく上下するのが特徴です。精神的な興奮や緊張などで変動するのはもちろん、例えば入浴や食事の前後でも血圧は変化します。最初はご自分の傾向を知るために頻回に測定して下さい。だいたいの傾向がわかってきたら、あとは1日に2回、朝起きて排尿を済ませたあとに1回と、寝る前に1回の測定で充分です。
Q 記録の仕方は?
A 江本医院でノートをお渡ししますので、グラフにして記録して下さい。診断や治療をする上での大変よい参考になりますし、ご自分でも血圧の変動や治療効果がよくわかるようになります。

ご質問等がありましたら、 院長江本までお気軽にご相談下さい。
TEL:(06)6852-3098  医療法人 江本医院 院長 江本 敬